鳩山首相の施政方針演説全文
2010年1月29日
鳩山由紀夫首相の施政方針演説の全文は次の通り。
一 はじめに
いのちを、守りたい。
いのちを守りたいと、願うのです。
生まれくるいのち、そして、育ちゆくいのちを守りたい。
若い夫婦が、経済的な負担を不安に思い、子どもを持つことをあきらめてしまう、そんな社会を変えていきたい。
未来を担う子どもたちが、自らの無限の可能性を自由に追求していける、そんな社会を築いていかなければなりません。
働くいのちを守りたい。
雇用の確保は、緊急の課題です。
しかし、それに加えて、職を失った方々や、様々な理由で求職活動を続けている方々が、人との接点を失わず、共同体の一員として活動していける社会をつくっていきたい。
経済活動はもとより、文化、スポーツ、ボランティア活動などを通じて、すべての人が社会との接点を持っている、そんな居場所と出番のある、新しい共同体のあり方を考えていきたいと願います。
いつ、いかなるときも、人間を孤立させてはなりません。
一人暮らしのお年寄りが、誰にも看取られず孤独な死を迎える、そんな事件をなくしていかなければなりません。
誰もが、地域で孤立することなく暮らしていける社会をつくっていかなければなりません。
世界のいのちを守りたい。
これから生まれくる子どもたちが成人になったとき、核の脅威が歴史の教科書の中で過去の教訓と化している、そんな未来をつくりたいと願います。
世界中の子どもたちが、飢餓や感染症、紛争や地雷によっていのちを奪われることのない社会をつくっていこうではありませんか。
誰もが衛生的な水を飲むことができ、差別や偏見とは無縁に、人権が守られ基礎的な教育が受けられる、そんな暮らしを、国際社会の責任として、すべての子どもたちに保障していかなければなりません。
今回のハイチ地震のような被害の拡大を国際的な協力で最小限に食い止め、新たな感染症の大流行を可能な限り抑え込むため、いのちを守るネットワークを、アジア、そして世界全体に張り巡らせていきたいと思います。
地球のいのちを守りたい。
この宇宙が生成して137億年、地球が誕生して46億年。
その長い時間軸から見れば、人類が生まれ、そして文明生活をおくれるようになった、いわゆる「人間圏」ができたこの一万年は、ごく短い時間に過ぎません。
しかし、この「短時間」の中で、私たちは、地球の時間を驚くべき速度で早送りして、資源を浪費し、地球環境を大きく破壊し、生態系にかつてない激変を加えています。
約3000万とも言われる地球上の生物種のうち、現在年間約4万の種が絶滅していると推測されています。
現代の産業活動や生活スタイルは、豊かさをもたらす一方で、確実に、人類が現在のような文明生活をおくることができる「残り時間」を短くしていることに、私たち自身が気づかなければなりません。
私たちの叡智を総動員し、地球というシステムと調和した「人間圏」はいかにあるべきか、具体策を講じていくことが必要です。
少しでも地球の「残り時間」の減少を緩やかにするよう、社会を挙げて取り組むこと。
それが、今を生きる私たちの未来への責任です。
本年、わが国は生物多様性条約締約国会議の議長国を務めます。
かけがえのない地球を子どもや孫たちの世代に引き継ぐために、国境を越えて力を合わせなければなりません。
私は、このような思いから、平成22年度予算を「いのちを守る予算」と名付け、これを日本の新しいあり方への第一歩として、国会議員の皆さん、そして、すべての国民の皆さまに提示し、活発なご議論をいただきたいと願っています。
二 目指すべき日本のあり方
私は、昨年末、インドを訪問した際、希望して、尊敬するマハトマ・ガンジー師の慰霊碑に献花させていただきました。
慰霊碑には、ガンジー師が、80数年前に記した「七つの社会的大罪」が刻まれています。
「理念なき政治」
「労働なき富」
「良心なき快楽」
「人格なき教育」
「道徳なき商業」
「人間性なき科学」、そして
「犠牲なき宗教」です。
まさに、今の日本と世界が抱える諸問題を、鋭く言い当てているのではないでしょうか。
20世紀の物質的な豊かさを支えてきた経済が、本当の意味で人を豊かにし、幸せをもたらしてきたのか。
資本主義社会を維持しつつ、行き過ぎた「道徳なき商業」、「労働なき富」を、どのように制御していくべきなのか。
人間が人間らしく幸福に生きていくために、どのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか。
今、その理念が、哲学が問われています。
さらに、日本は、アジアの中で、世界の中で、国際社会の一員として、どのような国として歩んでいくべきなのか。
政権交代を果たし、民主党、社会民主党、国民新党による連立内閣として初めての予算を提出するこの国会であるからこそ、あえて、私の政治理念を、国会議員の皆さんと、国民の皆さまに提起することから、この演説を始めたいと、ガンジー廟を前に私は決意いたしました。
(人間のための経済、再び)
経済のグローバル化や情報通信の高度化とともに、私たちの生活は日々便利になり、物質的には驚くほど豊かになりました。
一方、一昨年の金融危機で直面したように、私たちが自らつくり出した経済システムを制御できない事態が発生しています。
経済のしもべとして人間が存在するのではなく、人間の幸福を実現するための経済をつくり上げるのがこの内閣の使命です。
かつて、日本の企業風土には、社会への貢献を重視する伝統が色濃くありました。
働く人々、得意先や取引先、地域との長期的な信頼関係に支えられ、百年以上の歴史を誇る「長寿企業」が約二万社を数えるのは、日本の企業が社会の中の「共同体」として確固たる地位を占めてきたことの証しです。
今こそ、国際競争を生き抜きつつも、社会的存在として地域社会にも貢献する日本型企業モデルを提案していかなければなりません。
ガンジー師の言葉を借りれば、「商業の道徳」を育み、「労働をともなう富」を取り戻すための挑戦です。
(「新しい公共」によって支えられる日本)
人の幸福や地域の豊かさは、企業による社会的な貢献や政治の力だけで実現できるものではありません。
今、市民やNPOが、教育や子育て、街づくり、介護や福祉など身近な課題を解決するために活躍しています。
昨年の所信表明演説でご紹介したチョーク工場の事例が多くの方々の共感を呼んだように、人を支えること、人の役に立つことは、それ自体が歓びとなり、生きがいともなります。
こうした人々の力を、私たちは「新しい公共」と呼び、この力を支援することによって、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生するとともに、肥大化した「官」をスリムにすることにつなげていきたいと考えます。
一昨日、「新しい公共」円卓会議の初会合を開催しました。
この会合を通じて、「新しい公共」の考え方をより多くの方と共有するための対話を深めます。
こうした活動を担う組織のあり方や活動を支援するための寄付税制の拡充を含め、これまで「官」が独占してきた領域を「公」に開き、「新しい公共」の担い手を拡大する社会制度のあり方について、5月を目途に具体的な提案をまとめてまいります。
(文化立国としての日本)
「新しい公共」によって、いかなる国をつくろうとしているのか。
私は、日本を世界に誇る文化の国にしていきたいと考えます。
ここで言う文化とは、狭く芸術その他の文化活動だけを指すのではなく、国民の生活・行動様式や経済のあり方、さらには価値観を含む概念です。
厳しい環境・エネルギー・食料制約、人類史上例のない少子高齢化などの問題に直面する中で、様々な文化の架け橋として、また、唯一の被爆国として、さらには、伝統文化と現代文明の融和を最も進めている国のひとつとして、日本は、世界に対して、この困難な課題が山積する時代に適合した、独自の生活・行動様式や経済制度を提示していくべきだと考えます。
多くの国の人々が、一度でよいから日本を訪ねたい、できることなら暮らしたいと憧れる、愛され、輝きのある国となること。
異なる文化を理解し、尊重することを大切にしながら、国際社会から信頼され、国民が日本に生まれたことに誇りを感ずるような文化を育んでいきたいのです。
(人材と知恵で世界に貢献する日本)
新しい未来を切り拓くとき、基本となるのは、人を育てる教育であり、人間の可能性を創造する科学です。
文化の国、人間のための経済にとって必要なのは、単に数字で評価される「人格なき教育」や、結果的に人類の生存を脅かすような「人間性なき科学」ではありません。
一人ひとりが地域という共同体、日本という国家、地球という生命体の一員として、より大きなものに貢献する、そんな「人格」を養う教育を目指すべきなのです。
科学もまた、人間の叡智を結集し、人類の生存にかかわる深刻な問題の解決や、人間のための経済に大きく貢献する、そんな「人間性」ある科学でなければなりません。
疾病、環境・エネルギー、食料、水といった分野では、かつての産業革命にも匹敵する、しかし全く位相の異なる革新的な技術が必要です。その母となるのが科学です。
こうした教育や科学の役割をしっかりと見据え、真の教育者、科学者をさらに増やし、また社会全体として教育と科学に大きな資源を振り向けてまいります。
それこそが、私が申し上げ続けてきた「コンクリートから人へ」という言葉の意味するところです。
三 人のいのちを守るために
私は、来年度予算を「いのちを守る予算」に転換しました。
公共事業予算を18・3パーセント削減すると同時に、社会保障費は9・8パーセント増、文教科学費は5・2パーセント増と大きくメリハリをつけた予算編成ができたことは、国民の皆さまが選択された政権交代の成果です。
(子どものいのちを守る)
所得制限を設けず、月額13、000の子ども手当を創設します。
子育てを社会全体で応援するための大きな第一歩です。
また、すべての意志ある若者が教育を受けられるよう、高校の実質無償化を開始します。
国際人権規約における高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とし、教育の格差をなくすための検討を進めます。
さらに、「子ども・子育てビジョン」に基づき、新たな目標のもと、待機児童の解消や幼保一体化による保育サービスの充実、放課後児童対策の拡充など、子どもの成長を担うご家族の負担を、社会全体で分かち合う環境づくりに取り組みます。
(いのちを守る医療と年金の再生)
社会保障費の抑制や地域の医療現場の軽視によって、国民医療は崩壊寸前です。
これを立て直し、健康な暮らしを支える医療へと再生するため、医師養成数を増やし、診療報酬を十年ぶりにプラス改定します。
乳幼児からお年寄りまで、誰もが安心して医療を受けられるよう、その配分も大胆に見直し、救急・産科・小児科などの充実を図ります。
患者の皆さんのご負担が重い肝炎治療については、助成対象を拡大し、自己負担限度額を引き下げます。
健康寿命を伸ばすとの観点から、統合医療の積極的な推進について検討を進めます。
お年寄りが、ご自身の歩まれた人生を振り返りながら、やすらぎの時間を過ごせる環境を整備することも重要です。
年金をより確かなものとするため、来年度から二年間を集中対応期間として、紙台帳とコンピューター記録との突き合わせを開始するなど、年金記録問題に「国家プロジェクト」として取り組みます。
(働くいのちを守り、人間を孤立させない)
働く人々のいのちを守り、人間を孤立させないために、まずは雇用を守ることが必要です。
雇用調整助成金の支給要件を大幅に緩和し、雇用の維持に努力している企業への支援を強化しました。
また、非正規雇用の方々のセーフティネットを強化するため、雇用保険の対象を抜本的に拡充します。
労働をコストや効率で、あるいは生産過程の歯車としか捉えず、日本の高い技術力の伝承をも損ないかねない派遣労働を抜本的に見直し、いわゆる登録型派遣や製造業への派遣を原則禁止します。
さらに、働く意欲のある方々が、新規産業にも活かせる新たな技術や能力を身につけることを応援するため、生活費支援を含む恒久的な求職者支援制度を平成23年度に創設すべく準備を進めます。
若者、女性、高齢者、チャレンジドの方々など、すべての人が、孤立することなく、能力を活かし、生きがいや誇りを持って社会に参加できる環境を整えるため、就業の実態を丁寧に把握し、妨げとなっている制度や慣行の是正に取り組みます。
社会のあらゆる面で男女共同参画を推進し、チャレンジドの方々が、共同体の一員として生き生きと暮らせるよう、障害者自立支援法の廃止や障害者権利条約の批准などに向けた、改革の基本方針を策定します。
また、いのちを守る社会の基盤として、自殺対策を強化するとともに、消防と医療の連携などにより、救急救命体制を充実させます。
住民の皆さまと一緒に、犯罪が起こりにくい社会をつくり、犯罪捜査の高度化にも取り組んでいきます。
四 危機を好機に ―フロンティアを切り拓く―
(いのちのための成長を担う新産業の創造)
ピンチをチャンスと捉えるということがよく言われます。
では、私たちが今直面している危機の本質は何であり、それをどう変革していけばよいのでしょうか。
昨年末、私たちは、新たな成長戦略の基本方針を発表いたしました。
鳩山内閣における「成長」は、従来型の規模の成長だけを意味しません。
人間は、成人して身体の成長が止まっても、様々な苦難や逆境を乗り越えながら、人格的に成長を遂げていきます。
私たちが目指す新たな「成長」も、日本経済の質的脱皮による、人間のための、いのちのための成長でなくてはなりません。
この成長を誘発する原動力が、環境・エネルギー分野と医療・介護・健康分野における「危機」なのです。
私は、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として、2020年に、温室効果ガスを1990年比で25パーセント削減するとの目標を掲げました。
大胆すぎる目標だというご指摘もあります。
しかし、この変革こそが、必ずや日本の経済の体質を変え、新しい需要を生み出すチャンスとなるのです。
日本の誇る世界最高水準の環境技術を最大限に活用した「グリーン・イノベーション」を推進します。
地球温暖化対策基本法を策定し、環境・エネルギー関連規制の改革と新制度の導入を加速するとともに、「チャレンジ25」によって、低炭素型社会の実現に向けたあらゆる政策を総動員します。
医療・介護・健康産業の質的充実は、いのちを守る社会をつくる一方、新たな雇用も創造します。
医療・介護技術の研究開発や事業創造を「ライフ・イノベーション」として促進し、利用者が求める多様なサービスを提供するなど、健康長寿社会の実現に貢献します。
(成長のフロンティアとしてのアジア)
今後の世界経済におけるわが国の活動の場として、さらに切り拓いていくべきフロンティアはアジアです。
環境問題、都市化、少子高齢化など、日本と共通の深刻な課題を抱えるアジア諸国と、日本の知識や経験を共有し、ともに成長することを目指します。
アジアを単なる製品の輸出先と捉えるのではありません。
環境を守り、安全を担保しつつ、高度な技術やサービスをパッケージにした新たなシステム、例えば、スマートグリッドや大量輸送、高度情報通信システムを共有し、地域全体で繁栄を分かち合います。
それが、この地域に新たな需要を創出し、自律的な経済成長に貢献するのです。
アジアの方々を中心に、もっと多くの外国人の皆さんに日本を訪問していただくことは、経済成長のみならず、幅広い文化交流や友好関係の土台を築くためにも重要です。
日本の魅力を磨き上げ、訪日外国人を2020年までに2、500万人、さらに3、000万人まで増やすことを目標に、総合的な観光政策を推進します。
アジア、さらには世界との交流の拠点となる空港、港湾、道路など、真に必要なインフラ整備については、厳しい財政事情を踏まえ、民間の知恵と資金も活用し、戦略的に進めてまいります。
(地域経済を成長の源に)
もうひとつの成長の新たな地平は、国内それぞれの地域です。
その潜在力にもかかわらず、長年にわたる地域の切り捨て、さらに最近の不況の直撃にさらされた地域経済の疲弊は極限に達しています。
まずは景気対策に万全を期し、今後の経済の変化にも臨機応変に対応できるよう、11年ぶりに地方交付税を1・1兆円増と大幅に増額するほか、地域経済の活性化や雇用機会の創出などを目的とした2兆円規模の景気対策枠を新たに設けます。
その上で、地域における成長のフロンティア拡大に向けた支援を行います。
わが国の農林水産業を、生産から加工、流通まで一体的に捉え、新たな価値を創出する「六次産業化」を進めることにより再生します。
農家の方々、新たに農業に参入する方々には、戸別所得補償制度をひとつの飛躍のバネとして、農業の再生に果敢に挑戦していただきたい。
世界に冠たる日本の食文化と高度な農林水産技術を組み合わせ、森林や農山漁村の魅力を活かした新たな観光資源・産業資源をつくり出すのです。
政府としてそれをしっかりと応援しながら、食料自給率の50パーセントまでの引上げを目指します。
地域経済を支える中小企業は日本経済の活力の源です。
その資金繰り対策に万全を期するほか、「中小企業憲章」を策定し、意欲ある中小企業が日本経済の成長を支える展望を切り拓いてまいります。
さらに、地域間の活発な交流に向け、高速道路の無料化については、来年度から社会実験を実施し、その影響を確認しながら段階的に進めてまいります。
地域の住民の生活を支える郵便局の基本的なサービスが、地域を問わず一体的に利用できるようユニバーサルサービスを法的に担保するとともに、現在の持株会社・四分社化体制の経営形態を再編するなど、郵政事業の抜本的な見直しを行ってまいります。
(地域主権の確立)
地域のことは、その地域に住む住民が責任をもって決める。
この地域主権の実現は、単なる制度の改革ではありません。
今日の中央集権的な体質は、明治の富国強兵の国是のもとに導入され、戦時体制の中で盤石に強化され、戦後の復興と高度成長期において因習化されたものです。
地域主権の実現は、この中央政府と関連公的法人のピラミッド体系を、自律的でフラットな地域主権型の構造に変革する、国のかたちの一大改革であり、鳩山内閣の改革の一丁目一番地です。
今後、地域主権戦略の工程表に従い、政治主導で集中的かつ迅速に改革を進めます。
その第一弾として、地方に対する不必要な義務付けや枠付けを、地方分権改革推進計画に沿って一切廃止するとともに、道路や河川等の維持管理費に係る直轄事業負担金制度を廃止します。
また、国と地方の関係を、上下関係ではなく対等なものとするため、国と地方との協議の場を新たな法律によって設置します。
地域主権を支える財源についても、今後、ひも付き補助金の一括交付金化、出先機関の抜本的な改革などを含めた地域主権戦略大綱を策定します。
あわせて、「緑の分権改革」を推進するとともに、情報通信技術の徹底的な利活用による「コンクリートの道」から「光の道」への発想転換を図り、新しい時代にふさわしい地域の絆の再生や成長の基盤づくりに取り組みます。
本年を地域主権革命元年とすべく、内閣の総力を挙げて改革を断行してまいります。
(責任ある経済財政運営)
当面の経済財政運営の最大の課題は、日本経済を確かな回復軌道に乗せることです。
決して景気の二番底には陥らせないとの決意のもと、この度成立した、事業規模で約24兆円となる第二次補正予算とともに、当初予算としては過去最大規模となる平成22年度予算を編成いたしました。
この二つの予算により、切れ目ない景気対策を実行するとともに、特にデフレの克服に向け、日本銀行と一体となって、より強力かつ総合的な経済政策を進めてまいります。
財政の規律も政治が果たすべき重要な責任です。
今回の予算においては、目標としていた新規国債発行額約44兆円以下という水準を概ね達成することができました。
政権政策を実行するために必要な約3兆円の財源も、事業仕分けを反映した既存予算の削減や公益法人の基金返納などにより捻出できました。
さらに将来を見据え、本年前半には、複数年度を視野に入れた中期財政フレームを策定するとともに、中長期的な財政規律のあり方を含む財政運営戦略を策定し、財政健全化に向けた長く大きな道筋をお示しします。
五 課題解決に向けた責任ある政治
以上のような政策を実行するのが政治であり、行政です。
政府が旧態依然たる分配型の政治を行う限り、ガンジー師のいう「理念なき政治」のままです。
新たな国づくりに向け、「責任ある政治」を実践していかなければなりません。
(「戦後行政の大掃除」の本格実施)
事業仕分けや子育て支援のあり方については、ご家庭や職場でも大きな話題となり、様々な議論がなされたことと思います。
私たちは、これまで財務省主計局の一室で官僚たちの手によって行われてきた予算編成過程の議論を、民間の第一線の専門家の参加を得て、事業仕分けという公開の場で行いました。
上から目線の発想で、つい身内をかばいがちだった従来型の予算編成を、国民の主体的参加と監視のもとで抜本的に変更できたのも、ひとえに政権交代のたまものです。
「戦後行政の大掃除」は、しかし、まだ始まったばかりです。
今後も、様々な規制や制度のあり方を抜本的に見直し、独立行政法人や公益法人が本当に必要なのか、「中抜き」の構造で無駄遣いの温床となっていないか、監視が行き届かないまま垂れ流されてきた特別会計の整理統合も含め、事業仕分け第二弾を実施します。
これらすべてを、聖域なく、国民目線で検証し、一般会計と特別会計を合わせた総予算を全面的に組み替えていきます。
行政刷新会議は法定化し、より強固な権限と組織によって改革を断行していきます。
(政治主導による行政体制の見直し)
同時に、行政組織や国家公務員のあり方を見直し、その意識を変えていくことも不可欠です。
省庁の縦割りを排し、国家的な視点から予算や税制の骨格などを編成する国家戦略局を設置するほか、幹部人事の内閣一元管理を実現するために内閣人事局を設置し、官邸主導で適材適所の人材を登用します。
こうした改革を断行するため、政府と与党が密接な連携と役割分担のもと、政府部内における国会議員の占める職を充実強化するための関連法案を今国会に提案いたします。
さらに、今後、国民の視点に立って、いかなる府省編成が望ましいのか、その設置のあり方も含め、本年夏以降、私自身が主導して、抜本的な見直しに着手します。
税金の無駄遣いの最大の要因である天下りあっせんを根絶することはもちろん、「裏下り」と揶揄される事実上の天下りあっせん慣行にも監視の目を光らせて国民の疑念を解消します。
同時に、国家公務員の労働基本権のあり方や、定年まで勤務できる環境の整備、給与体系を含めた人件費の見直しなど、新たな国家公務員制度改革にも速やかに着手します。
(政治家自ら襟を正す)
こうした改革を行う上で、まず国会議員が自ら範を垂れる必要があります。
国会における議員定数や歳費のあり方について、会派を超えて積極的な見直しの議論が行われることを強く期待します。
政治資金の問題については、私自身の問題に関して、国民の皆さまに多大のご迷惑とご心配をおかけしたことをあらためてお詫び申し上げます。
ご批判を真摯に受け止め、今後、政治資金のあり方が、国民の皆さまから見て、より透明で信頼できるものとなるよう、企業・団体献金の取扱いを含め、開かれた議論を行ってまいります。
六 世界に新たな価値を発信する日本
(文化融合の国、日本)
日本は四方を豊かな実りの海に囲まれた海洋国家です。
古来より、日本は、大陸や朝鮮半島からこの海を渡った人々を通じて多様な文化や技術を吸収し、独自の文化と融合させて豊かな文化を育んできました。
漢字と仮名、公家と武家、神道と仏教、あるいは江戸と上方、東国の金貨制と西国の銀貨制というように、複合的な伝統と慣習、経済社会制度を併存させてきたことは日本の文化の一つの特長です。
近現代の日本も和魂洋才という言葉のとおり、東洋と西洋の文化を融合させ、欧米先進諸国へのキャッチアップを実現しました。
こうした文化の共存と融合こそが、新たな価値を生み出す源泉であり、それを可能にする柔軟性こそが日本の強さです。
自然環境との共生の思想や、木石にも魂が宿るといった伝統的な価値観は大切にしつつも、新たな文化交流、その根幹となる人的交流に積極的に取り組み、架け橋としての日本、新しい価値や文化を生み出し、世界に発信する日本を目指していこうではありませんか。
(東アジア共同体のあり方)
昨年の所信表明演説で、私は、東アジア共同体構想を提唱いたしました。
アジアにおいて、数千年にわたる文化交流の歴史を発展させ、いのちを守るための協力を深化させる、「いのちと文化」の共同体を築き上げたい。
そのような思いで提案したものです。
この構想の実現のためには、様々な分野で国と国との信頼関係を積み重ねていくことが必要です。
断じて、一部の国だけが集まった排他的な共同体や、他の地域と対抗するための経済圏にしてはなりません。
その意味で、揺るぎない日米同盟は、その重要性に変わりがないどころか、東アジア共同体の形成の前提条件として欠くことができないものです。
北米や欧州との、そして域内の自由な貿易を拡大して急速な発展を遂げてきた東アジア地域です。
多角的な自由貿易体制の強化が第一の利益であることを確認しつつ地域の経済協力を進める必要があります。
初代常任議長を選出し、ますます統合を深化させる欧州連合とは、開かれた共同体のあり方を、ともに追求していきたいと思います。
(いのちと文化の共同体)
東アジア共同体の実現に向けての具体策として、特に強調したいのは、いのちを守るための協力、そして、文化面での交流の強化です。
地震、台風、津波などの自然災害は、アジアの人々が直面している最大の脅威のひとつです。
過去の教訓を正しく伝え、次の災害に備える防災文化を日本は培ってきました。
これをアジア全域に普及させるため、日本の経験や知識を活用した人材育成に力を入れてまいります。
感染症や疾病からいのちを守るためには、機敏な対応と協力が鍵となります。
新型インフルエンザをはじめとする様々な情報を各国が共有し、協力しながら対応できる体制を構築していきます。
また、人道支援のため米国が中心となって実施している「パシフィック・パートナーシップ」に、今年から海上自衛隊の輸送艦を派遣し、太平洋・東南アジア地域における医療支援や人材交流に貢献してまいります。
(人的交流の飛躍的充実)
昨年の十二月、私はインドネシアとインドを訪問いたしました。
いずれの国でも、国民間での文化交流事業を活性化させ、特に次世代を担う若者が、国境を越えて、教育・文化、ボランティアなどの面で交流を深めることに極めて大きな期待がありました。
この期待に応えるために、今後五年間で、アジア各国を中心に十万人を超える青少年を日本に招くなど、アジアにおける人的交流を大幅に拡充するとともに、域内の各国言語・文化の専門家を、相互に飛躍的に増加させることにより、東アジア共同体の中核を担える人材を育成してまいります。
APECの枠組みも、今年の議長として、充実強化に努めてまいります。
経済発展を基盤として、文化・社会の面でもお互いを尊重できる関係を築いていくため、新たな成長戦略の策定に向けて積極的な議論を導きます。
(日米同盟の深化)
今年、日米安保条約の改定から50年の節目を迎えました。
この間、世界は、冷戦による東西の対立とその終焉、テロや地域紛争といった新たな脅威の顕在化など大きく変化しました。
激動の半世紀にあって、日米安全保障体制は、質的には変化を遂げつつも、わが国の国防のみならず、アジア、そして世界の平和と繁栄にとって欠くことのできない存在でありました。
今後もその重要性が変わることはありません。
私とオバマ大統領は、日米安保条約改定50周年を機に、日米同盟を21世紀にふさわしい形で深化させることを表明しました。
今後、これまでの日米同盟の成果や課題を率直に語り合うとともに、幅広い協力を進め、重層的な同盟関係へと深化・発展させていきたいと思います。
わが国が提出し、昨年12月の国連総会において採択された「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」には、米国が初めて共同提案国として名を連ねました。
本年は、核セキュリティ・サミットや核拡散防止条約運用検討会議が相次いで開催されます。
「核のない世界」の実現に向け、日米が協調して取り組む意義は極めて大きいと考えます。
普天間基地移設問題については、米国との同盟関係を基軸として、わが国、そしてアジアの平和を確保しながら、沖縄に暮らす方々の長年にわたる大変なご負担を少しでも軽くしていくためにどのような解決策が最善か、沖縄基地問題検討委員会で精力的に議論し、政府として本年5月末までに具体的な移設先を決定することといたします。
気候変動の問題については、地球環境問題とエネルギー安全保障とを一体的に解決するための技術協力や共同実証実験、研究者交流を日米で行うことを合意しています。
活動の成果は、当然世界に及びます。この分野の同盟を、そして日米同盟全体を、両国のみならずアジア太平洋地域、さらには世界の平和と繁栄に資するものとしてさらに発展させてまいります。
(アジア太平洋地域における二国間関係)
アジア太平洋地域における信頼関係の輪を広げるため、日中間の戦略的互恵関係をより充実させてまいります。
日韓関係の、世紀をまたいだ大きな節目の今年、過去の負の歴史に目を背けることなく、これからの百年を見据え、真に未来志向の友好関係を強化してまいります。
ロシアとは、北方領土問題を解決すべく取り組むとともに、アジア太平洋地域におけるパートナーとして協力を強化します。
北朝鮮の拉致、核、ミサイルといった諸問題を包括的に解決した上で、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を実現する。
これは、アジア太平洋地域の平和と安定のためにも重要な課題です。
具体的な行動を北朝鮮から引き出すべく、六者会合をはじめ関係国と一層緊密に連携してまいります。
拉致問題については、新たに設置した拉致問題対策本部のもと、すべての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、政府の総力を挙げて最大限の努力を尽くしてまいります。
(貧困や紛争、災害からいのちを救う支援)
アフリカをはじめとする発展途上国で飢餓や貧困にあえぐ人々。
イラクやアフガニスタンで故郷に戻れない生活を余儀なくされる難民の人々。国際的テロで犠牲になった人々。
自然災害で住む家を失った人々。
こうした人々のいのちを救うために、日本に何ができるのか、そして何が求められているのか。
今回のハイチ地震の惨禍に対し、わが国は、国連ハイチ安定化ミッションへの自衛隊の派遣と約7千万ドルにのぼる緊急・復興支援を表明しました。
国際社会の声なき声にも耳を澄まし、国連をはじめとする国際機関や主要国と密接に連携し、困難の克服と復興を支援してまいります。
七 むすび
いのちを守りたい。
私の友愛政治の中核をなす理念として、政権を担ってから、かたときも忘れることなく思い、益々強くしている決意です。
今月17日、私は、阪神・淡路大震災の追悼式典に参列いたしました。
15年前の同じ日にこの地域を襲った地震は、尊いいのち、平穏な暮らし、美しい街並みを一瞬のうちに奪いました。
式典で、16歳の息子さんを亡くされたお父様のお話を伺いました。
地震で、家が倒壊し、二階に寝ていた息子が瓦礫の下敷きになった。
積み重なった瓦礫の下から、息子の足だけが見えていて、助けてくれというように、ベッドの横板を
とん、とん、とんと叩く音がする。
何度も何度も助け出そうと両足を引っ張るが、瓦礫の重さに動かせない。
やがて、30分ほどすると、音が聞こえなくなり、次第に足も冷たくなっていくわが子をどうすることもできなかった。
「ごめんな。
助けてやれなかったな。
痛かったやろ、苦しかったやろな。
ほんまにごめんな。」
これが現実なのか、夢なのか、時間が止まりました。
身体中の涙を全部流すかのように、毎日涙し、どこにも持って行きようのない怒りに、まるで胃液が身体を溶かしていくかのような、苦しい毎日が続きました。
息子さんが目の前で息絶えていくのを、ただ見ていることしかできない無念さや悲しみ。
人の親なら、いや、人間なら、誰でも分かります。
災害列島といわれる日本の安全を確保する責任を負う者として、防災、そして少しでも被害を減らしていく「減災」に万全を期さねばならないとあらためて痛感しました。
今、神戸の街には、あの悲しみ、苦しみを懸命に乗り越えて取り戻した活気が溢れています。
大惨事を克服するための活動は地震の直後から始められました。
警察、消防、自衛隊による救助・救援活動に加え、家族や隣人と励ましあい、困難な避難生活を送りながら復興に取り組む住民の姿がありました。
全国から多くのボランティアがリュックサックを背負って駆け付けました。
復旧に向けた機材や義捐金が寄せられました。
慈善のための文化活動が人々を勇気づけました。
混乱した状況にあっても、略奪行為といったものは殆どなかったと伺います。
みんなで力を合わせ、人のため、社会のために努力したのです。
あの15年前の、不幸な震災が、しかし、日本の「新しい公共」の出発点だったのかもしれません。
今、災害の中心地であった長田の街の一画には、地域のNPO法人の尽力で建てられた「鉄人28号」のモニュメントが、その勇姿を見せ、観光名所、集客の拠点にさえなっています。
いのちを守るための「新しい公共」は、この国だからこそ、世界に向けて、誇りを持って発信できる。私はそう確信しています。
人のいのちを守る政治、この理念を実行に移すときです。
子どもたちに幸福な社会を、未来にかけがえのない地球を引き継いでいかねばなりません。
国民の皆さま、議員の皆さん、輝く日本を取り戻すため、ともに努力してまいりましょう。
この平成22年を、日本の再出発の年にしていこうではありませんか。
名護市長選当選の稲嶺さん「民意示せた」移設拒否貫く決意と宣言。
「辺野古に新基地は造らせない」。
稲嶺進さん(64)が宣言した瞬間、選対本部を地鳴りのような歓声が包んだ。
米軍普天間飛行場の移設問題が大きな争点となった名護市長選。
1996年に日米が沖縄県内移設を条件に米軍普天間飛行場の返還で合意して以来、基地反対と経済振興のはざまで翻(ほん)弄(ろう)されてきた名護市民は、受け入れ拒否を訴える候補を選択した。
過去3回の市長選で敗れ、背水の陣で臨んだ反対派。
昨年の政権交代を受け、新たな民意を政府に突き付けた。
たった数人から始まった小さな拍手が、じわじわと支持者の間に広がった。
名護市大中の稲嶺陣営選対本部。最初に当確が出されたのは、投票が締め切られた午後8時ちょうどだった。
「信じられない」「アッサ、最高ー」。
接戦が予想され、まだがらがらだった会場はあっという間に人の波で埋まった。
沖縄戦の体験から座り込みを続けるお年寄り。
子どもたちに自然を残そうと立ち上がった父や母。
抱き合い、涙を流す人の姿が見られた。
一票一票の積み重ねが名護市に新しい時代をもたらした。
稲嶺さんが姿を見せると、熱気はピークに。
指笛や太鼓、「ススム」コールがわき起こった。
「わたしは信じておりました。
13年間の思いを皆さんがこの選挙にぶつけてくれた」。
一つ一つ言葉を選びながら、ゆっくりと語り出す稲嶺さん。
支持者に歩み寄って「ありがとう」と固く握手を交わした。
市民投票では基地反対が上回ったものの、その後の市長選では3連敗。
「(今回の勝利で)同じ答えを出せ、市民の民意を示せた」とあいさつすると、支持者から「よーし!」とどよめきが起きた。
現行案で埋め立てられる大浦湾に面する三原区出身。
5歳で父を亡くし、母キクさんに女手一つで育てられた。
宜野座高校時代は、辺野古の親類宅に下宿していた。
当時を知る反対派の住民の一人は「まさか、あの子が…」と涙を浮かべた。
人口の少ない東海岸から市長が誕生するのは、市政40年で初めてとなった。
2006年4月、辺野古移設「V字案」で政府と基本合意した島袋吉和市長の記者会見で、険しい表情を浮かべていたのが当時教育長だった稲嶺さん。
4年がたち今度は稲嶺さんが市政のかじ取りを任された。
自転車でチラシを配った田港清治さん(81)は「こんなうれしい日はない」と声を弾ませた。
車いすで駆けつけた上間正敏さん(81)は「平和で自立することが大切だと思う。
稲嶺さんに頑張りましょうと声をかけた」と結果を喜んだ。
「約束を信念を持って貫いていきたい」「これが新しいスタート」。
稲嶺さんは力強く言い切った。
「辺野古の海残せる」反対のお年寄り、力込め
名護市辺野古の久辺三区合同事務所。
辺野古への米軍普天間飛行場移設に反対する「命を守る会」のメンバーを含め約50人が集まった。
稲嶺さん当確報道が出てから約2時間後、三区をまとめる島袋信男さん(68)が手作りのだるまの絵に目を書き入れると、事務所の熱気は最高潮に達した。
守る会結成から13年。
地域は基地移設の国策に揺れ、賛成、反対という望まぬ分断を強いられてきた。
いすに腰掛け喜びに浸る支援者には白髪のお年寄りが目立った。
反対運動の象徴的存在、嘉陽宗義さん(87)。
当確の報道直後、妻芳子さん(82)に伴われ両手を突き上げ、事務所に入った。
高血圧と風邪で寝込んでいたが「じっとしていられなかった」。
「稲嶺さんはこれからが大変だが、沖縄県民が協力すれば基地はなくなる」と力を込めた。
辺野古に近い久志集落に住む比嘉増進さん(61)は「辺野古の美しい海から、名護市の夜明けの太陽を拝める。
こんなうれしいことはない」としみじみ。
一方、稲嶺さんが生まれ育った市東部の三原区にある稲嶺後援会久志支部。
支持者約50人が午後8時過ぎにテレビの当確が伝えられると、いすから飛び上がり、東海岸初の市長誕生に喜びを爆発させる人もいた。
毎週土曜日にキャンプ・シュワブのゲート前で「ピースキャンドル」をかざし新基地建設反対を発信し続ける名護市瀬嵩の渡具知武清さん(53)は「基地を造らせない市長が誕生した。
子どもたちに豊かな海を残していけると思う」と語った。
[うるの会] 沖縄問題解決へ一丸で
◆ 民主党(喜納昌吉、玉城デニー、瑞慶覧長敏)
社民党(照屋寛徳、山内徳信)
国民新党(下地幹郎)
無所属(糸数慶子)
以上の県選出国会議員7氏で立ち上げた会。
政権交代を実感させる動きが県選出・出身国会議員から出てきた。連立を組むことになる民主、社民、国民新3党と無所属の衆参議員7人が一つにまとまり「うるの会」を再結成した。
「沖縄が抱える課題を超党派で新政権に発信していく」(照屋寛徳氏)のが狙いだ。
野党に転落した自民党議員が衆院から一人もいなくなったこともあり、「うるの会」の合意内容は、自公政権下の沖縄政策から決定的な転換を印象づける。
沖縄の声をどう具体的に政策に反映させるか。
中央では3党連立政権協議が進められているが、沖縄の米軍基地の取り扱いが焦点の一つになっている。
新政権発足を前に、早くも沖縄選出議員らの真価が問われている。
「うるの会」は野党時代にも組織していた。
ただ、当時とは雲泥の差がある。
沖縄の声を主張するだけでなく、新政権を担う議員として政策決定過程から協議に加わることができるからだ。
米軍基地問題では、普天間飛行場の名護市辺野古移設反対、日米地位協定の抜本的改定を求め、移設関連予算の執行停止を新防衛相と協議することを確認した。
また、2010年度内閣府概算要求の予算規模を2800億円から3500億円に引き上げることや沖縄本島を縦断する鉄軌道導入に向けた調査費も要求していく考えだ。
沖縄政策は新政権の試金石となりそうだ。
鳩山由紀夫代表は選挙中に普天間移設問題で「最低でも県外移転」と主張しており、「対等な日米関係」のスタンスが試される。
自公政権下では、自民党国会議員でつくる「五ノ日の会」があった。
県政、県内各種団体の要請を政府や党につなぐ役割を果たし、一定の存在感を示した。
米軍基地問題に関しては本来、政府・自民党と沖縄の主張が違うときこそ、その存在意義が問われるはずだった。
たとえば、日米地位協定の改定問題だ。
政府・自民党は改定には踏み込まず、運用改善でしのごうとする姿勢を崩さなかった。
「五ノ日の会」は沖縄の声を政府・自民党の政策に反映させようとしたのか。
衆院選でほとんどの候補者は日米地位協定の改定・抜本的見直しに触れたが、実際取り組んできたかよく見えなかったのではないか。
自民党中枢にいて沖縄への理解が深い幹事長経験者が沖縄の国会議員はあまり動かない、と指摘したことがある。
「五ノ日の会」の力が急速に低下してきたことは確かだ。
「うるの会」の要求は、衆院選で示された沖縄の民意に応えるものだ。
有権者は選挙で公約を支持し、その実現を託したのである。
こうした背景を考えれば、今回の行動は当然である。
連立3党の衆参議員らが一致して沖縄の主張を通せば、これまでの沖縄政策を転換できる可能性がある。
これが沖縄にとっての政権交代の意味といえよう。
「うるの会」の後ろには有権者がいる。
これからの行動は同時に、有権者の厳しい目にさらされていることを忘れてはならない。
◆ 沖縄相 「辺野古案に疑問」「移設再検討へ」普天間 見直す考え知事と会談
前原誠司沖縄担当相は3日、米軍普天間飛行場の移設について「鳩山政権の下で新たな移設先を再検討し、それを実施するということが必要だ」と述べ、日米両政府が合意した名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を見直す考えを示した。
前原沖縄相は同日、就任後初めて来県し、普天間飛行場を視察後に記者団に答えた。
今後の進め方については、岡田克也外相と北沢俊美防衛相が新たな代替地を探す努力をしていると明かした上で、「その結果を受け、沖縄との橋渡し役、調整を私がやらせていただきたい」と話した。
鳩山政権発足後、閣僚が現行案の見直しに言及するのは初めて。
前原沖縄相は岡田外相、北沢防衛相、平野博文官房長官とともに普天間移設を含む在日米軍再編問題について非公式協議を行うメンバー。
今後政府内でどのように調整するのか注目される。
前原沖縄相は、条件付きで辺野古移設を容認している仲井真弘多知事の姿勢に言及した上で、「われわれとしては辺野古が本当に進むのかどうか、疑問を持っている」との見解を示した。
今後の方向性について「何とかうまく実現するスキームを作り、実際に動きだすことをやっていかないといけない」と述べたが、具体的な日程には踏み込まなかった。
前原沖縄相は同日午後、宜野湾市の伊波洋一市長から普天間飛行場の現状について説明を受け、「一言で言って時間がかかり過ぎているということに尽きる」と印象を語った。
仲井真知事との会談では「沖縄にとっても、日米同盟を維持していく上でも大変大事な問題だというベースは一緒。
どのように解決するか、沖縄県と相談しながら政府として取り組んでいきたい」と述べた。
◆ 泡瀬地区埋め立て「控訴審踏まえ判断」
前原誠司沖縄担当相は3日、沖縄県庁で仲井真弘多知事と会談し、沖縄市の泡瀬沖合埋め立て事業をめぐる対応について「控訴審の判決も見ながら、沖縄県や沖縄市と相談し判断したい」と述べ、事業の方向性を判断する上で、地元の意向も重要な要素になるとの認識を示した。
前原沖縄相は泡瀬の事業方針として「1区中断、2区中止」と表明したことに触れ「中断は中止ではない。
特別自由貿易地域の現状や泡瀬干潟の環境保全の観点も踏まえ、相談させていただきたい」と語った。
仲井真知事は会談後、記者団に「泡瀬の事業は断然必要だ。
前原沖縄相は中止ではないとしている。
沖縄県や沖縄市と相談するということなので待つしかない」と話した。
また、前原沖縄相は那覇空港の滑走路増設に関して「速やかに取り組み、完成に向け努力したい」としたが、現滑走路から1310メートル沖合への増設案の是非には言及しなかった。
この日、前原沖縄相は沖縄県議会の高嶺善伸議長や市町村の首長らと会談したほか、普天間飛行場が見渡せる宜野湾市嘉数高台や糸満市の平和の礎を巡った。
自民党幹事長に大島氏、国対委員長には川崎氏
自民党の谷垣禎一総裁は29日、
▽幹事長に大島理森国対委員長(63 当選9回、高村派)
▽政調会長に石破茂前農相(52 当選8回、額賀派)
▽総務会長に田野瀬良太郎元副財務相(65 当選6回、山崎派)
を充てる人事を内定した。
同日中に新執行部が発足する。
大島氏の後任の国対委員長には川崎二郎元厚生労働相(61 当選9回、古賀派)が就任した。
焦点の幹事長人事について、谷垣氏は「いろいろ難しい課題があるので、力量のある方にお願いしなければならない」と述べ、ベテラン議員を起用する意向を示していた。
政府・与党との国会論戦に重点を置く狙いから、国会対策の経験が豊富な大島氏に白羽の矢を立てたとみられる。
新幹事長は、谷垣氏とともに10月の参院補選や来年夏の参院選を取り仕切る重責も担う。
石破氏は防衛相、農相を歴任した政策通で、中堅・若手を代表する論客。
党内では今回の総裁選に立候補を促す声もあったが、谷垣氏の支持に回った。
田野瀬氏は谷垣氏が小泉内閣の財務相時代に副財務相を務めた。
新内閣発足 初会見で「脱官僚政治」へ決意表明
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2750.html 平成21年9月16日 鳩山内閣総理大臣記者会見画像
民主党の鳩山由紀夫代表(62)は16日午後、国会で第93代首相に指名された。
直ちに組閣をし、16日夜、皇居での首相任命式、閣僚の認証式を経て、新内閣を発足させた。
鳩山首相は指名後初の記者会見に臨み、「脱官僚政治を作り出し、今こそ実践しなければならない」と決意を表明。
夜の初閣議で、予算編成の基本方針を策定する国家戦略局の前身となる「国家戦略室」の設置を指示した。
首相は子ども手当などの家計刺激策を「真っ先に行う」と表明。
そうした独自政策を実施する財源の捻出(ねんしゅつ)に関しては「無駄遣い一掃」をうたい、無駄遣い削減を担う「行政刷新会議」について「直ちに稼働させる」と強調。
2010年度当初予算での所要額7.1兆円に触れ、「十分にめどが立つと確信している」と述べた。
10年度予算については「年内に編成できるスケジュール感で臨みたい」と語った。
新政権は初閣議後の閣僚懇談会で「政・官の在り方」について申し合わせた。
基本認識として
(1)政策の立案・決定は政が責任をもって行う
(2)官は政に対し政策の基礎データや情報の提供、政策の立案・決定を補佐する
と役割分担を明確化。
官に対し、大臣などに報告すべき情報を秘匿したり、偏った情報提供をすることがないよう、注文を付けた。
衆参両院は16日午後、首相指名選挙をし、鳩山氏が民主、社民、国民新各党などの支持を得て両院とも過半数の票を獲得し、首相に指名された。
鳩山氏は、衆院(定数480)で327票、参院(同242)で124票を獲得した。
終了後、社民党の福島瑞穂党首、国民新党の亀井静香代表と首相官邸で与党3党首会談を開き、連立政権の樹立を確認した。
麻生内閣16日総辞職 自民党政権に幕引き
麻生内閣は16日、民主党の鳩山由紀夫代表が特別国会で新首相に指名されるのを前に総辞職する。
政権発足から1年足らず。
「選挙の顔」として期待され、衆院選の勝利を「天命」と意気込んだ麻生太郎首相は、解散時期を逡巡(しゅんじゅん)した末、皮肉にも自民党政権に幕を引く役回りを担うことになった。
安倍晋三元首相や福田康夫前首相のように政権を途中で投げ出すことはなかったが、言動にはぶれが目立ち、麻生色は最後まであいまいなままだった。
麻生首相は就任間もない昨年10月の参院本会議で、「衆院の解散という政局より、景気対策など政策の実現を優先したい」と答弁した。
これが麻生内閣の基本スタンスとなり、以後、首相は解散を先送りしながら、追加経済対策に力を注いだ。
しかし、結果的に所得制限を設けなかった定額給付金を巡り、「もらいたくない人はもらわなきゃいい。
1億円あっても、さもしく1万2000円欲しいという人もいるかもしれない」と発言するなど、政策決定までに迷走を繰り返す場面が目立った。
自ら打ち上げた厚生労働省の分割・再編は政府・与党内からも批判を招き、撤回に追い込まれると、「最初からこだわっていない」と強弁1に転じた。
衆参両院で与野党勢力が逆転した「ねじれ国会」の下、法案審議にも苦労した。
1951年以降なかった衆院での3分の2以上の賛成による再可決は、福田内閣の4回に対し、麻生内閣では8回に及んだ。
懸念されていた「失言癖」は、首相就任後もたびたび顔をのぞかせた。
小泉内閣で総務相を務めながら、「私は郵政民営化に賛成じゃなかった」と国会で答弁して永田町の失笑を買い、小泉純一郎元首相からは痛烈に批判された。
「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」「たらたら飲んで食べて何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」などの配慮に欠ける発言で次第に国民の信頼を失い、漢字の読み間違いがこれに輪をかけた。
こうした中、自民党内には「麻生氏では衆院選に勝てない」と、就任時からすると手のひらを返すような声がわき起こり、中川秀直元幹事長ら首相に批判的なグループからは「麻生降ろし」の動きも浮上した。
最後まで大きな流れにならなかったのは、小泉氏の退任後、安倍、福田、麻生氏と1年ごとに政権をたらい回しし、人材が払底した結果に過ぎず、それは衆院選惨敗後、総裁候補選びに四苦八苦する党の現状にもつながっている。
政治不信を招いた最後の政権「自公」の終わりでもある。
3党連立政権樹立へ
民主、社民、国民新3党は9日夕、国会内で党首会談を開いた。
同日、社民が提案した「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、
米軍再編や在日米軍基地の在り方についても見直しの方向で臨む」との内容を明記することについて
民主、国民新が受け入れ、民主の鳩山由紀夫代表が16日の特別国会で首相に選出された後、
連立政権を樹立することで正式合意した。
普天間飛行場代替施設の辺野古移設見直しは、合意書に盛り込まれなかった。
合意を受け、鳩山氏は社民の福島瑞穂党首、国民新の亀井静香代表に入閣を要請し、両氏の入閣が内定した。
党首会談で福島氏は、
沖縄の基地問題に関する社民党の考えとして
(1)名護市辺野古への普天間代替施設建設を含め、在沖米軍基地の在り方を見直す
(2)日米地位協定の改定は2008年3月、3党で合意した内容を踏まえるとの2点を挙げ、「今後、協議していきたい」と呼び掛けた。
社民は9日午前、党幹部で構成する「政権協議チーム」の会合を開き、8日の「沖縄県民の心情も踏まえ、基地の在り方をはじめとする2国間の課題の解決を図る」と明記するとした民主の提案を協議。
米軍再編の見直しや、日米地位協定の改定に関する記述がないことに批判が集中。
それを加えた上で、民主の考え方にも譲歩し、普天間飛行場辺野古移設の見直しは合意書に盛り込まず新たな提案を確認した。
9日午後の3党幹事長会談で民主、国民新とも、社民の新たな提案を政策合意書に盛り込むことを承諾した。
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民主党 社民、国民新との連立政権樹立で合意
民主、社民、国民新の3党幹事長は9日午後、連立政権樹立に向けて国会内で会談した。
社民党の重野安正幹事長が米軍普天間飛行場(沖縄県)の移設計画見直しと日米地位協定改定について連立合意文書に明記するよう要望。
民主党の岡田克也幹事長はこれを受け入れ、「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」との表現で盛り込むと回答、連立政権樹立で合意した。
3党は9日夕、党首会談を開き、連立政権発足を正式に決定する運びだ。
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4年で不要事業を廃止、民間移譲
民主「行政刷新会議」計画案 民主党が新設する「行政刷新会議」の制度と計画案が6日、明らかになった。
まず1年で国の事業をすべて見直し、その後、3年間の「行政刷新計画」に基づき計4年で不要な事業の廃止や民間への移譲などを推進する。
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